2013/02/12

PADI Sidemount course~サイドマウント・コース~


毎シーズンPhilに何らかのコースを教えてもらってる。

基本的なことのリフレッシュ、新しいスキルもつく、そして何より自分の楽しみのため。あ、もうひとつ。Philと取るコースはどれも楽しい。

 

今年最初に取ったのはSidemount(サイドマウント)という比較的新しいコース。
去年Philが自分でそれを使ってみてからずっと、一緒にサイドマウントで潜ろう、って言い続けて、やっと・・・。

 

今ではアドバンスコースの1本としても選ぶことができるようになっているサイドマウント。

新しいスキルならなおさら興味津々だ。

しかも使ったことのない器材。

 

 

さて、サイドマウントがいったい何なのか、っていうと。

私たちが普段しているレクリエーショナルダイビングでは、従来タンクと、BCDという浮力調節器具、それにタンクから私たちダイバーに空気を供給するレギュレーターを組み立てて、ジャケットのような形になっているBCDを着るというのが一般的な器材だ。

自然タンクは私たちの背中に背負っている形になる。

 

それがサイドマウントでは、タンクを背中側ではなく、体の側面、あるいは前面に持ってくる。



 

 

 
側面にタンクを持つ場合には、もちろんバランスをとるために左右に1本ずつ。1本だけで潜るなら体の前面に斜めに持つ。

従来のBCDではタンクをBCD背面のベルトで固定していた。が、サイドマウントでは、タンクをクリップでBCDのDリング(アルファベットのDの形をしたメタルのリング。BCDに何かを固定するためについている)につるす。

クリップはタンクのバルブ部分(首元)と下部にひとつずつつけてある。バルブ部分のクリップをBCDの胸あたり、下部のクリップをBCDの背面下部についている金具に取り付ける。

レギュレーター(空気を供給する器材)は各タンクについており、右のタンクにはSPG(残圧計・タンクの中の空気の残量を示すゲージ)とテクニカルダイビングで使用するホースが2メートルのセカンドステージ(くわえて空気を吸うところ)が取り付けてある。

左のタンクには、これもまたSPG。そして普通の長さのセカンドステージがついている。

 

2本持って潜る場合、この2本をBCDに引っ掛けずにタンクのバルブ部分を手で持ってボートから水面に飛び込む。もちろん自分だけ先の飛び込んで、ボートからタンクを降ろしてもらってもかまわない。

自分が水面に飛び込んでからタンクを下ろしてもらえば、ボートの上で重いタンクをよっこいしょと運ぶ面倒も省ける。

 

水面から潜降する前に胸部と背面下部にタンクを取り付ける。そして、飛び込むときにくわえている右タンクからのセカンドステージをいったんはずし、左タンクのセカンドステージを首に掛けてあるバンジー(口からセカンドステージが外れてしまっても首元から離れないように取り付けるためのゴム製でチューブ状のネックレスのようなもの。通常テクニカルダイビングに使用するアクセサリー)に取り付ける。

その上からロングホースのセカンドステージを首の左側から背面を通して右からくわえる。

 

この、水面での作業がこのコースで一番ややこしい部分。

左右のセカンドステージを前後逆につけてしまうと、今度は水中でややこしいことになる。

 

さてこれで準備完了。

 

サイドマウントで使うBCDは、もちろんそれ専用のものもあるけれど、私が使ったのはテクニカルダイビングでツインセット(背中に2本のタンクを背負うために固定されたタンクのセット)も取り付けられるウィング(浮力を調節するときに背面にだけ空気が入るようになっているBCDの通称)。

ツインセットを背負うときのメタルボードははずしてあるけれど、それでも通常のレクリエーショナルダイビングのBCDよりはるかに重い。

そのためこれらの器材を使うときにはウェイトは必要ない。
私がよじ登れそうなくらい大きな人たちでもウェイトなしで潜るのだから、私にとってはエクストラのウェイトを数キロ持っているのと同じようなもの。
もちろん気をつけていなければ、潜降が岩を落としたようになってしまう。
ただ、この型のウィングは、一般のBCDと比べて浮力があるので、数キロ重さが余分なだけなら調節しだいですごく快適にはなる。

私のレクリエーショナルダイビング用のBCDもウィングだけど、このテクニカルダイビング用のウィングに比べると、じれったいほどバランスがとりにくい。


この写真はちなみに私ではありません。
カバーンコースを取ったときのバディTom。
水中で泳いでるときにはこんな状態になる。


さて、水中でのスキル。
このコースは通常のレクリエーショナルダイビングとは違う器材を使う、というところに重点があるので、それほど水中スキルの練習はない。

ひとつはレギュレーターがフリーフロー(レギュレーターが壊れて、タンクの空気が勢いよくセカンドステージから噴出す状態)した場合の対処方法。
これはテクニカルダイビングのコースでも最初に練習することだけれど、要はフリーフローしているレギュレーターが取り付けてあるタンクのバルブを閉めればいいだけ。
ただ、問題になるのはこれが突然起こると、今自分がくわえているセカンドステージがどっちのタンクからのもので、フリーフローしているのがどっちのタンクなのか一瞬混乱すること。
ただ、そのときに一瞬だけ落ち着けばすぐにわかること。

もうひとつのスキル。
サイドマウントでは自分の両脇の下にタンクをさげることになるので、どうしても全体の形が横に張り出すようになる。
たとえばこの状態で、カバーンやケーブに入った場合、狭くて通れないところが出てくる。
それを回避するために、泳ぎながら背面下部のクリップをはずし、タンクを2本とも自分の前に持ってきて泳ぐ。
その練習。

こんな風に。
こうすれば、人の体が通れるところなら基本的には通り抜けられる。

このスキル。
腕に少し力は要るけれど、簡単なもの。しかも、動かすときが少し面白い。なんだか自分が器材の一部になったような気がする。

そしてもうひとつ。
両脇にあるタンクの重さに差が出ると、体がどちらかに傾く。
そのために、一定の空気を吸ったとき、もうひとつのタンクのレギュレーターにくわえなおし、左右のバランスをとる。
最初に使っていた、左タンクから出ているロングホースのセカンドステージは使わないときには右胸のDリングにクリップで留めておく。


このサイドマウントコース。
器材やスキルが少しだけテクニカルダイビングと似たところがある。
そして新しいコースだということで、今シーズンうちの店では大人気。
もちろんテクニカルダイビングのコースとあわせてとることもできる。従来のツインタンクを背負ってのテクニカルダイビングよりも、器材の取り扱いや、組み立ても楽なことから、これからどんどん増えていくと思われる。

サイドマウントを始めて使った感想といえば、やっぱり最初の数十分はバランスが取れなくて不安定だった、ということ。
レクリエーショナルダイビングの体験ダイバーもきっと同じことを感じてるんだろうな、なんて思いながら水中にいた。
ただし安定してしまえば、2本で両脇から支えられていることにもなる。


最後に私自身の写真。
水中でカメラ類を持っているのはたいてい私自身なので自分の写真がそれほどないところがちょっと寂しいけど。
私がこの装備をつけると、私が器材に装着されているように見えてしまう。
こういうときにはどうしても体が小さいというのはおもしろくない。ただし、これらの装備で潜る周りのダイバーと比べて、水中では小ささで俄然目立つけど・・・。

新しい器材、新しいスキル。
こういうコースを取るたびにやっぱりダイビングやめられないなぁ、と思う。


 

 

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